「土に還る」循環型センサデバイス
大阪大学産業科学研究所
JIEN LLP・遠野未来建築事務所
全ての存在は土から生まれ、土に還る円である。
トイレトワは、それを可視化した循環と再生の取り組みである。単なるトイレではなく、これからの廃棄物がない循環型社会のモデルとして産業廃棄物の再資源化を行う石坂産業の本社併設の環境教育の場、くぬぎの森につくられた。再生土による円形の版築壁のトイレ棟とその排水を再生・循環する過程を見せるタンク等からなる木造建築である。
かつて、日本は世界有数の循環型の社会であり、トイレトワがある埼玉県三芳町も300年以上昔から人々に親しまれ、守られてきた里山であった。植えた木はすべて落葉樹で、落ち葉からつくられた堆肥が、森林と農作物を育て、そこで再び生み出された落ち葉、また堆肥となっていく。そこには循環型農業が成立し、自然と共に生きることがあたり前の暮らしがあった。トイレトワは、そうした江戸時代から続く循環を現代に蘇らせたい、土づくりに欠かせない微生物の大切さを伝えたいという強い思いから誕生した。こうした思いをまず社員へ伝え、社員から来訪者へ、そして来訪者から子どもたちへと伝えていき、循環の知恵を未来へ伝えていく役目を担っている。
●素材の循環と再生
トイレ棟では、コンクリートを使わずほとんどが「土に還る」素材と再生した素材でつくられている。メインの素材として使われたNS-10は建主の石坂産業とアイエスエンジニアリングが共同開発した再生土である。同社に運び込まれたハウスメーカーの住宅の解体材の石こうボードと土の混合物を同社工場で分別し、精製したもの。これまで舗装の路盤材としての使用しかなかったがそれを今回はじめて建材として使用した。その他には、木材やウッドチップ、古瓦などの再生材を建物全体に活用している。
●技術の循環
木の施工は若手大工による手刻みで行われ、版築、塗り壁、三和土土間、モルタル研ぎ出しなどの左官技術も活かし、素材だけでなく木と土の伝統技術の循環にも取り組んでいる。
●トイレ排水の完全循環と、菜園・樹木の活性化
トイレの排水の処理と再生には、複合発酵(ENBC)というバイオテクノロジーが用いられている。無数の微生物の菌の力により、水が浄化されて汚水中の雑菌、悪性細菌、大腸菌がゼロになり無臭で飲料可能なほど透明になる。その浄化された水がタンク棟周囲の菜園や樹木へと流れ、新たな生命へと紡がれていく。
●大地の再生
今回のトイレ建築に伴い、周囲の森と土壌が酸化して固まり弱っており、外構整備とともに森を再生する作業としてトイレを中心とした森の「大地の再生」工事を行った。土中に木枝、落ち葉、竹炭、くん炭、古瓦などの敷地で手に入る植物由来の素材を縦横に埋め込み、地中に水脈と空気の流れをつくることで、土壌の団粒化、土中の菌糸、根系、微生物、土中生物などの働きを活性化させ、土壌が本来持つ力を育んだ。固く水はけが悪かった土がこの工事により水たまりがなくなり、木々の再生とともにさわやかな流れが生まれた。森の中に土—木—建築—土という水と空気の循環ができたことが実感できる。今回の大地再生の実施により、土中と空気中の目に見えない水の循環が実現し、トイレの複合発酵の水循環とともに森の生態系が再生した。
●人の教育
現在石坂産業の社員に対して、トイレトワの仕組みや管理方法はもちろんのこと、循環・再生の価値や思想に至るまでを伝える教育プログラムを行っている。社員からここを訪れた一般のお客様へ伝え、さらに、未来を生きる子どもたちも対象にしたプログラムの展開を予定している。
Air Company CEO兼創業者
TOILETOWA offers a unique perspective on circularity by rethinking the role of everyday infrastructure in environmental regeneration. It challenges the conventional view of waste as something to be discarded or managed, instead presenting it as a resource that can be integrated into a larger ecological cycle. The project’s focus on transforming wastewater through complex fermentation and returning it to nourish local plants highlights how waste management can be both a functional and regenerative process, connecting people directly to the natural world in a way that is rarely done so visibly.
What I find particularly compelling is how TOILETOWA shifts the conversation from abstract sustainability concepts to hands-on, personal experiences. Visitors don’t just learn about the circular economy—they engage with it on a practical level, seeing how their own waste can be part of the regeneration of the land. This kind of direct interaction with sustainability principles is often missing from broader discussions, making this project not only educational but deeply engaging.
In a broader sense, TOILETOWA redefines what sustainable design can look like, moving away from high-tech, complex solutions and instead embracing the wisdom of traditional building techniques and local materials. It shows that sustainability doesn’t always need to be high-tech or global in scale; it can be local, deeply integrated into the community, and rooted in cultural knowledge.
TOILETOWAは、日常のインフラを環境再生の一部として捉え直すことで、循環性に対する独自の視点を提示しています。
従来、「廃棄物」は管理や処理の対象とされてきましたが、このプロジェクトはそれを「資源」 として捉え、より広い生態系のサイクルに統合するという新しい可能性を示しています。
特に、廃水を複雑な発酵プロセスを通じて浄化し、それを地域の植物の養分として還元する 取り組みは、廃棄物管理を機能的であると同時に再生的なプロセスへと進化させています。このアプローチは、普段意識されることの少ない廃棄物と自然世界とのつながりを、「目に見える形」 で示すことで、人々を自然と直接結びつける役割を果たしています。
特に魅力的なのは、抽象的な「持続可能性」の概念を、実体験を通じて具体的に示している点です。
ここでは訪問者が単に循環型経済について学ぶだけでなく、自らの「廃棄物」が土地の再生にどのように貢献するのかを実際に目の当たりにし、体験することができます。
このような直接的な関わり を通じて、持続可能性の原則が単なる議論の枠を超え、手触りのある「現実」として伝わるのです。こうした体験型のアプローチは、しばしば広範な議論から欠落しがちですが、TOILETOWAは教育的であると同時に、私たち一人ひとりにとって心に深く響く、エンゲージメントの場を創出しています。
TOILETOWAは、持続可能なデザインのあり方を再定義していると言えます。
高度なテクノロジーや複雑なソリューションに頼るのではなく、伝統的な建築技術と地域の素材に根ざした知恵を取り入れている点が特に際立っていると感じられます。
このプロジェクトが示しているのは、持続可能性が必ずしもハイテクやグローバルな規模である必要はないということです。ローカルであり、コミュニティと深く結びつき、文化的な知識に支えられた取り組みこそが、真に持続可能な未来を形作る力を持つのです。
FabCafe Kyoto マーケティングリーダー、SPCSコミュニティマネージャー
With the advent of sewage systems, excrement has become invisible, making it difficult to even imagine how it is broken down. For too long, we've been focused on simply "covering up the stink." This alternative system, which keeps excrement in place rather than flushing it away, allows non-human organisms to break it down and transform it. By doing so, it may foster a sense of responsibility for the fate of something we'd rather ignore and offer an opportunity to rethink our relationship with non-human stakeholders.
下水システムが整ったことで、排泄物の存在が見えなくなり、それらがどのように分解されていくのか、想像することさえ難しくなってしまった。私たちはあまりに長い間「臭いものに蓋」をしつづけてしまった。この排泄物を水に流さず、その場にとどめ、人間以外の生物によって分解され形を変えていく様子を見るこの仕組みは、自分が一番隠したいものである排泄物の行末にどこか責任感を芽生えさせ、人間以外のステークホルダーとの関係性を変えるきっかけになりうるのではないだろうか。
廃棄物から水素、水素から再生可能エネルギーへ 【ごみZEROプロジェクトBIOTECHWORKS-H2】
BIOTECHWORKS-H2, Inc.
CircÛbi
ETH Zurich, Chair of Circular Engineering for Architecture and ETH Zurich, Chair of Architectural Behaviorology
LightEd
LightEd
アースフレンドリーな黒毛和牛「脱炭素牛」の開発と、有機系廃棄物を原材料としたメタン発酵バイオガス発電による循環型社会の創造
農地所有適格法人 八重山列島カーボンフリーファーム合同会社
Thaely
Thaely Pvt Ltd
Natural paper from fallen leaves
Releaf Paper France SAS
タイヤを黒から白へ:ナノテクノロジータイヤ強化素材を脱炭素社会と豊かな海のために
リッパー株式会社
Woola
Woola OÜ
海と生きるマテリアル「amuca®」
amu株式会社
Cement Project
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 SAMCARAプロジェクト
Vleur
慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 SAMCARAプロジェクト
Perspire
Nate Fiber limited
中山間地域内で自然形状木の建材利用を容易にする情報技術の研究
個人
Stone Waste is Bliss Ceramic Tiles
Ignorance is Bliss
The Akasango reef, an homage to the Japanese Red Coral
rrreefs
ReLink —建材リユースDXのプラットフォーム—
明治大学
さんごに優しい八重山ローカル認証 コラコラ(CORALCOLLABO)
さんごにやさしい八重山ローカル認証 コラコラ(CORALCOLLABO)
Harmo(ハルモ):食を通じた循環型コミュニティの創造
合同会社Ramune Pic
「ゆたかなイばしょ」廻るアートラウンジ
似て非works
The Growing Pavilion
Company New Heroes / Biobased Creations
BLUE FRONT SHIBAURA SUSTAINABLE ACTION
野村不動産㈱
Seaweedery project
Seaweedery
CIRCULAR ERP
sykell GmbH
林地残材を発酵させて人も自然も美しくする誰もが嬉しい循環活動
株式会社テーブルカンパニー 発酵温浴nifu Table Company, Inc. Fermented Bath Nifu
Sustainable Doka Practise
Individual