岩岡 孝太郎
株式会社飛騨の森でクマは踊る 代表取締役 CEO
1984年東京生まれ。千葉大学卒業後、建築設計事務所で勤務。その後、慶應義塾大学大学院(SFC)修士課程修了。2011年、“FabCafe”の構想を持って株式会社ロフトワークに入社。2012年、FabCafeをオープン、ディレクターとして企画・運営する。2015年、株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)の立ち上げに参画し、2016年FabCafe Hidaをオープン、2019年より現職。
Judge’s selections
オープンソース賞
田畑や里山を埋める太陽光発電を見ると心が痛むのは、その土地の循環とは関係のない存在だからかもしれません。オープンソースによる開発とモジュール化で、その土地の人たちが本当に必要な電力を分散的に得られ、自分たちのコミュニティの中で維持と再利用ができるようになったら、地域性を保持しながら循環の取り組みを続けられる、素晴らしいプロジェクトです。
ランドスケープ賞
社会インフラの中で未だ木質化されていないところに着目した、とてもシンプルでインパクトのあるプロジェクト。鉄製のガードレールもメンテナンスや交換が必要であり、30年間の耐久年数は、現在の日本の人工林の林齢や森の育成期間を考えても十分に合理的だと言える。杉のレールが連続する風景がスタンダードになってゆくのが楽しみである。
バイオマテリアル賞
森の中の倒木にキノコが群生しているのを見て、その木の一生の終わりを感じると共に、次の生命の基盤へと役割を変えているのだと思います。自然界の循環のプロセスでは隣り合う木とキノコが、同時に支え合って建築を構成する姿を想像するととてもワクワクします。固定された存在ではなく、成長と分解の只中にある建築となるのではないでしょうか。
アーバニズム賞
都市の中の建築の合理性とは何であるか?個々建築が人工的な快適さを実現した結果、都市の環境を犠牲にしてきたように思う。このオフィスビルプロジェクトは、これまで地方に任せていた素材生産・循環のプロセスを都市の中で引き受けることで、都市空間を健全にし、建築前後の都市と地方の結びつきを明らかにしようとしている。
食文化賞
森に入るたびに、森は木材生産の場である以上に多様性の宝庫であると気付かされる。日本草木研究所の活動は、地域の里山から食の恵を得ていた文化的な知恵と工夫をクリエイティブな視点で蘇らせ、人々の関心と活動の場を再び森へと向かわせてくれる。