竹田 達哉
株式会社三井住友フィナンシャルグループ / 企画部サステナビリティ推進室長
1996年、入行。経営企画部、ITイノベーション推進部等を経て、2019年4月より株式会社三井住友フィナンシャルグループ 企画部 サステナビリティ推進室に所属、サステナビリティ戦略策定に従事。2020年10月より現職。
2020年 経済産業省 サーキュラー・エコノミー及びプラスチック資源循環ファイナンス研究会 委員 /
2020年 環境省 ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース 委員/ 2021年 TCFDコンソーシアム 企画委員
Judge’s selections
無駄なものなどありません。食べま賞 / Sur-prize-ingly Edible Prize
「社会課題を食材に変える。」 課題を食べる。UseではなくEat。 使い道が思いつかないなら、自然のものなら食べてしまえ。大胆な発想の転換です。ヒトは進化の過程で食べるものを変え、文明の発展とともに食べることに意味を与えました。その後も、ヒトは便利で安全な暮らしを求め続けました。その結果が今の世界です。今も昔も、中身は違えど社会課題は存在したはずです。ですが、社会課題を食べることで解決しようとする発想はなかったかもしれません。このプロジェクトは、進化したヒト、文明に慣れた現代人が、自然に帰る一つの方法かもしれないと思います。いろいろと考えるきっかけになるプロジェクトと評価しました。
素敵なビジネスモデルで賞 / Business Model Prize
「郷に入りて郷に従え」。旅行や出張で現地の人と仲良くなるには、その土地の正装を着ることで、現地の風習をリスペクトすることが早道です。アロハ、バティック(インドネシア)、ロンジー(ミャンマー)、買ってしまうのですがその後使うことは・・・、残るのは忍びない気持ちのみ。こうした苦い思いをせずに、且つ環境にも優しいビジネスモデル。現地特産のサトウキビを繊維にしていて、地産地消ができている点も出来そうでできない点です。テクノロジーで製品ライフサイクルも追っている点も付加価値です。あったら使いたいサービスと評価しました。
モノを大切に扱う心を養うで賞 / Prizing Objects Prize
「ガシャン!」「危ないから触らないで!」それまで楽しい食卓を飾っていた食器がキケンな破片、「厄介な不燃物」に変わってしまう。ガラスや陶磁器は、割れた瞬間にその利用価値を失う。デリケートな物質であるが故の宿命。だが作り手は自分の作品のこのような末路を望んでいない。「厄介な不燃物」を産み出さない取組。これまであまり光の当たってこなかった陶磁器を対象として、循環型のモノづくりを進めている点、モノを大切にすることを改めて認識させてくれる点、そして作り手へのモノ作りへの想いを想起させる点で、世の中に広く知ってもらいたいと思えるプロジェクトと評価しました。
大規模イベントはこうなるで賞 / Future of Huge Events Prize
先日のFinancial Timesに、「COP26に集まる3万人の飛行機利用や滞在で排出するカーボンフットプリント」の試算が掲載されていました。Co2排出の削減を協議するために、世界中から飛行機を使って多くの人が集まることへの皮肉です。コロナによりオンラインでのイベント開催が可能になった一方で、リアル開催でなければ価値が下がるイベントもあるでしょう。その代表が芸術祭だと思います。しかしこれから芸術祭であっても環境に配慮しなければ指示を得られないことを本プロジェクトは示唆しています。今後の大規模イベントの在り方を示すよいチャレンジだと評価しました。ちなみに、2025年大阪万博のテーマは「SDGs」です。
日が当たらなかった木に光を当てるで賞 / Prize Every Tree Prize
二酸化炭素の吸収・固定源としてその価値が再認識されている森林。しかしながら、効率的に二酸化炭素を吸収する立派な木々からなる森林を維持するには、多くの人出と長い年月を要します。特に山の多い日本の林業においては、海外の林業に比べ機械化が遅れ、コストに見合った十分な収入が得られないという構造的な問題を抱えています。加えて、手間暇をかけて育てた木々であっても、育成過程での間伐が必要です。今回の、カリモクの取組みは日本の林業が抱える構造的な問題の解決の一助となります。間伐材であっても質の高い製品に生まれ変わり、二酸化炭素固定に貢献し続ける。こうした取り組みをきっかけに日本の木材に新たな価値が見いだされるとよいと思います。